
電気を駆動源とする電気自動車の走行音は、ガソリン車と比べて静かだといわれているものの、実際はどうなのでしょうか。
騒音を抑える必要がある夜間に運転することが多い方は、どれくらい走行音を抑えることができるのか、把握しておきたいですよね。
そこで本記事では、走行音をはじめとする電気自動車から発生する音について解説します。
電気自動車の購入や乗り換えを検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
電気自動車の走行音
気自動車はガソリン車と比較して、非常に静かに走行することが可能です。
騒音を抑えて走行できる理由は、電気自動車がバッテリーに貯めた電気を駆動源として動くことにあります。
この駆動源が走行音にどう影響するのでしょうか。
電気自動車の静穏性を、ガソリン車が走行するうえで、騒音が発生する仕組みから紐解いていきましょう。
ガソリン車の走行音が発生する仕組み
ガソリン車の走行時に騒音が生じる要因には、エンジンを動かす際のプロセスが関係しています。
ガソリン車が走行するまでの工程は、以下の通りです。
ガソリン車が動くプロセス
エンジン内でガソリンと空気の混合物を圧縮する
圧縮したものを着火する
着火時の爆発でエネルギーが生まれる
生まれたエネルギーで部品を回す
ギアを通してタイヤを動かす
車が走行する
ガソリンが走行するうえで騒音が発生してしまうのは、圧縮されたガソリンと空気の混合物に着火する工程で、爆発が起こるからです。
爆発時に生じる音は、マフラーとよばれる消音機で抑えられているものの、音が車内外に聞こえてしまいます。
一方で、電気自動車を動かす電気モーターは、電気を使ってモーターを回転させてタイヤを動かすため、走行音は起こりません。
これが、電気自動車が静かに走行できる理由です。
電気自動車のタイヤから生じる音
電気自動車は走行中に騒音が発しないとはいっても、タイヤの摩擦音が目立って聞こえることがあります。
タイヤが道路に擦れる音が大きいと感じるのは、電気自動車の静穏性によるものです。
つまり、電気自動車のタイヤの摩擦音が、ガソリン車よりも大きいというわけではありません。
電気モーターがほとんど無音で動くため、車の中にいる運転手や同乗者は、タイヤが道路に擦れる音だけが響いて聞こえてしまうわけです。
そのため、電気自動車のタイヤは、可能な限り静かに走れる製品を選ぶことをおすすめします。
静穏性が高いタイヤとして代表的なのは、タイヤの内側にスポンジ素材を導入しているコンフォートタイヤです。
走行中にタイヤから生じる音を抑えられたら、車内でも走行音を気にせずに過ごすことができます。
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特定の状況で発する電気自動車の疑似的な音
電気自動車は、減速または加速したタイミングで、人工的に作られた疑似的な音が鳴ります。
ほとんど音を立てずに走行できる電気自動車ですが、その静かさゆえに車が接近しても歩行者が気づくことができないリスクがあります。
そのリスクに伴う接触事故を避けるために、走行中に音が鳴る機能が搭載されているのです。
とはいえ、歩行者が人工的に作られた音で、車の接近に気づくことができるのでしょうか。
この疑問については、国土交通省の交通安全環境研究科が車両接近音の違いによる歩行者の認知性を検証した実験結果をもとにお答えします。
実験結果によると、メロディやチャイムカテゴリーのような音は、実際のエンジン音よりも10dB程度低い音量でも、同等の認知性を確保できることがわかりました。
ただし、歩行者に接近を知らせるためとはいえ、雑音に聞こえては電気自動車の静穏性が損なわれてしまうので、各自動車メーカーは音量や音質設計に、工夫を凝らしています。
実際に電気自動車に搭載されている装置の音について、以下で詳しくご紹介します。
車両接近通報装置の音
車両接近通報装置は、電気自動車が低速で走行しているときに、車両の前方に取りつけられた専用のスピーカーから、モーターが回転するような音を出す音響装置です。
広範囲にわたって歩行者が聞き取れるように広角スピーカーを使用したり、10種類程度の周波数を混ぜたりして、音を出力している電気自動車メーカーもあるようです。
車の走り始めと同時に鳴る音は、車速が上がるごとに音階も上がり、時速20km以上になると止まります。
音が鳴る最低ラインは時速20km未満と定められていますが、音が鳴りやむ車速の上限は、自動車メーカーごとに異なります。
日本では、電気自動車やハイブリッド車に対して、この車両接近通報装置の搭載を義務づけており、基本的に運転手の判断で音が鳴るのを止めることはできません。
例外として、高速道路での渋滞時のような、周囲に音を出して走行を知らせる必要が明らかにない場合に限り、音を一時停止できる車両もあります。
なお、車両接近通報装置の音量は、販売会社によって事前に搭載されているものより大きくすることはできても、小さくすることはできません。
このようにして、電気自動車メーカーは、電気自動車にエンジン音がないぶん、車両接近通報装置の音を工夫することで、接触事故を防止しています。
参照元:国土交通省
加速を周知する音
電気自動車には、加速していることを聴覚で運転手が認知できるように、車両が加速すると車内に特定の音が流れる機能がついています。
この音が鳴る理由は、エンジン音がないことで、徐々にスピードが上がっていることに気づかずに、運転手がアクセルペダルを踏み込みすぎることを避けるためです。
車内には、事務的な通知音ではなく、加速に連動して周波数を変え、車内にいる人が聞いて心地よいと感じるような音が流れます。
心地よい音を出すことによって、運転手や同乗者の高揚感を高めるという狙いもあります。
ガソリン車特有の雑音をあえて出すことで、エンジン音の自然な躍動感を表現する音を開発したり、作曲と同じ手順で作成した音を搭載したりしているメーカーもあるようです。
電気自動車の加速を周知させる音は、疑似的にメーカーが作成するため、自社の独自性を生む重要なポイントとして、各社が研究を進めています。
加速を周知させる音を、耳触りの良い音になるように試行錯誤することで、事故を防止するだけでなく、騒音を出さないという電気自動車の利点を保っています。
電気自動車の走行音は静穏性に優れているものの、事故を避けるために創意工夫が施されている
今回は、電気自動車が走行時に発する音についてご紹介しました。
電気自動車は、エンジンを使わずにモーターに蓄えた電気で走るため、走行音は限りなく静かです。
ほとんど無音で走行する電気自動車に乗っていると、タイヤの音が車内に響くこともあるため、静かに走行できるコンフォートタイヤを使用するのがおすすめです。
また、歩行者が車両の接近に気づかない可能性を考慮して、電気自動車には車両接近通報装置を搭載することが義務づけられています。
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試乗もできますので、電気自動車の静穏性をぜひ一度ご体験ください。