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電気自動車(EV)普及を阻むデメリットとは?普及を阻む諸課題を解説

更新日:4月17日



「EVの新車の評判がいいが、メリットばかりなの?」「環境にいいとか、燃費が安いとか、本当?」とお疑いの方、いらっしゃるのではないですか。

 

購入を検討する際には、デメリットの話も聞いておきたいところですよね。

EVのような新技術で、かつどんどん性能が進化している製品はなおさらのことです。

そこで、今回はよく指摘されるEVのデメリットを整理して、詳しく解説しました。

これを読めばEV普及のための課題も分かります。


目次


電気自動車(EV)のデメリットとは


モーターで稼働する電気自動車はCO2やNOxを出さない、環境に優しい自動車として、世界中で導入が推進されており、日本でも税制・財政両面で優遇措置がとられています。

しかしながら、普及率はといえば、2022年度の時点でも、全乗用車の販売台数のうち、わずか1.4%と極端な低率にとどまっています。


約6%の米国、20~30%の欧州や中国に比べ、日本ではなぜこんなに普及率が低いのでしょうか。

そこにはEVの普及を阻む未解決の課題が、デメリットとして横たわっているからです。

もちろん、未完成のアイテムであればこそ、の課題の多さといえます。

将来的にはもちろん、解決される可能性はありますが、現状、主にEVオーナーにデメリットと映っている点を整理しておきましょう。


参照元:一般社団法人日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」

デメリット①航続距離(走行距離)が不安

EVのデメリットの1つは航続距離の短さです。

現在の売れ筋は、航続距離200km程度の近距離用車種と、400~600km走る上級車種の2つです。

近距離用では、軽自動車タイプのEVも投入され、身近な通勤、買い物、送り迎えといったタウンユースを中心に、用途が広がっています。


ただ、上で示した航続距離はいずれもカタログ数値であり、ガソリン車もそうですが、坂道や気象条件、エアコン使用等で電気を消耗する実際の走行環境ではそこまで走れません。

実走行能力は、せいぜいカタログ値の7割程度ともいわれています。


それでも、近年のEVの航続距離(フル充電で走行できる距離)は初期のモデルに比べたら飛躍的に向上しています。


EVに乗り慣れていないうちは、「電気がなくなるのが早い」と感じるかもしれません。

となれば、日常使いといっても、ちょっと遠乗りすれば、電気の残量とにらめっことなってしまいますね。

どこに急速充電スタンドがあるのか調べておかないと、知らない道を走るのは勇気がいることでしょう。

「遠出はめったにしないけれど、もう少し航続距離の余裕が欲しい」というのは、EVオーナーの多くが感じているはずです。


もっとも、航続距離というのは、バッテリー容量に由来するもので、バッテリーの容量を大きくすれば、それに応じて航続距離を伸ばすことができます。 しかし、そうなると、車体本体価格が天井知らずに高くなってしまいかねません。

この問題の解決には、トヨタが2023年6月に発表した全固体電池のような革新的な技術が実用化され、量産体制が確立されるのを待つしかなさそうです。

デメリット②車両価格が高額

EVの価格は、同クラス同カテゴリーのガソリン車を大きく上回っています。

軽EVでみても価格帯は250万~300万円なのに対し、同クラスのガソリン軽の価格帯は130万~190万円と、軽EVが100万円以上高額です。


これは、現在のEVバッテリーの主流であるリチウムイオン電池の製造コストが高いためで、なかなかコストダウンが難しい状況です。


前述のとおり、自動車メーカーは目下、全固体電池をはじめとする次世代電池の数年以内の実用化を進めています。

EV価格=ほぼバッテリー価格である以上、リチウムイオンというレアメタル依存から脱することが、EVのガソリン車並み価格実現の必須要件なのは間違いありません。

デメリット③補助金は購入時には支給されない

EVのような環境適合車には、国や自治体による手厚い補助金制度があるのは周知のとおりです(減税制度もありますがここでは補助金についてのみ取り上げます)。


たとえば、2023年度の国の補助金(※)では、軽EVで最大55万円、登録車のEVでは最大85万円の給付を受けられます。

このほか、東京都や愛知県などでも、自治体独自のCEV(クリーンエネルギー自動車)補助金を用意しており、東京都の場合、補助金顎は最大55~85万円と国並みです。

仮に、東京都在住であれば、国と自治体を合わせた補助金交付額は110万円以上となります。

同クラスのガソリン車の購入価格は実質140万~190万円なので、ガソリン車並みまで下がります。


ただし、補助金制度を使っても、購入時にEVを安く買えるわけではありません。

補助金は購入後に所定の書類とともに申請し、承認されてから支給確定、後日振り込みとなるので、購入時には“定価”に近い金額を用意する必要があるのです。

また、支給を受けてから3~4年のEVの保有が義務づけられ、そのあいだに車を売却したら補助金は返却の必要があるなど、利用者が慎重になるような条項もついています。

そのためもあってか、補助金の強力後押しはあっても、EV普及の起爆剤にはなっていないのが現状です。

デメリット④充電に時間がかかる

EVの充電にはガソリンを給油するよりも時間がかかります。


急速充電(1時間あたり50kWの充電が目安)なら80%充電まで20~40分ほどですが、それでも満タンまで3分足らずのガソリン車より時間がかかります。

まして、自宅の充電設備(100Vまたは200V)でフル充電にするには8~15時間ほどかかるので、多くは帰宅後に安い夜間電力を使って、という対応を迫られるのです。


しかし、自宅にスタンドを設置したら、寝ているあいだに充電できるので、ガソリンスタンドに寄る手間なく目的地まで出発できるのはメリットともいえますね。

ちなみに、EVを約10km走らせるのに必要な充電時間は、100V電源では1時間、200V電源では30分ほどです。

デメリット⑤充電インフラがまだまだ不足

充電に時間がかかる以前に、現状、充電インフラ自体が足りていません。


まず、普通充電器については現在、宿泊施設や商業ビルなどに敷設されていますが、その数はガソリンスタンドにはまだまだ及びません。


家庭でも普通充電器を屋外に取りつけ、屋内に専用コンセント(数万円します)を設置すれば、問題なく充電スポットを設けることができますが、これは一軒家の場合。

集合住宅の駐車場では、入居者の多数決同意が必要なため、すんなりと充電器が設置できるとは限りません。


次に急速充電器は高速道路内SA・PAを中心に現在、全国で約9,000基が運用されていますが、地域別の偏在が大きいと指摘されています。

すべてのSA・PAに急速充電器があるわけでもなく、地方によってはほとんど見掛けないところもあるようです。


まだまだ数が少ない急速充電器ですから、高速道路が混む時期、曜日によっては充電待ちの列ができて、順番が回ってくるまで1時間程度かかることも珍しくありません。

この順番待ちによって、目的地への到着時間が読めなくなるため、行楽シーズンにはEVの遠乗りを控えるユーザーも多く、「EVの魅力度を下げている一因」との指摘も聞かれます。


経済産業省は2030年までに公共用の普通充電器を12万基、急速充電器を3万基設置するという目標を掲げているので、充電器の不足は徐々に解決に向かうとみられます。

デメリット⑥バッテリーに寿命があり交換代も高額

EVのバッテリーにも寿命があることは、知っておく必要があるでしょう。

メーカーの保証期間は8年ほどですが、それを過ぎても乗りつづけることはできます。

ただし、走行できる距離が短くなったり、充電できる量が減ったりして、次第にバッテリーの劣化を実感するようになります。


バッテリー交換には数十万円の費用がかかるため、多くのユーザーはこの段階で、バッテリー交換か、新車への乗り換えを検討するようです。


なお、ガソリン車やHV(ハイブリッド車)の寿命は平均的に10年(走行距離10万km)といわれ、EVよりやや長めといえます。

デメリット⑦車種が少ない

ガソリン車に比べてはるかに“新参者”のEVは、商品展開されている車種も、ガソリン車とは比べものにならないほど少ないです。


セダンやコンパクトカー、SUVタイプのEVはあってもミニバンタイプのEVはまだ販売されておらず、また、中古車市場ではほぼ日産リーフの寡占状態となっています。


とはいえ、政府もEVの普及を掲げ、メーカー側も新ラインナップをどんどん予定しているので、EVの車種問題も早晩解決すると思われます。

デメリット⑧リセールバリューが低い

数年乗ったEVを中古車として売却する場合、バッテリーの劣化で下取り価格が大幅に安くなるという問題がありました。

しかし最近は状況が変わってきたようです。


ガソリン価格の高騰などで、中古EVの人気が高まり、メーカーや車種にもよりますが、以前ほど値崩れしなくなっています。

ただし、軽EVなど、元の価格が低価格帯の車は、5年後のリセールバリューには期待しないほうが無難です。

デメリット⑨電欠はピンチ!人力で動かせない

EVは充電が切れると、モーターと連結している駆動輪がロックされてしまいます。

ガソリン車の場合は、ガス欠になってもギアをニュートラルに入れれば、2~3人で押して車をわずかな距離でも移動させることができますが、EVはそれができません。


充電が切れたらロードサービスを呼ぶことになるのは、ガス欠のガソリン車と同じですが、それまでに車を少しでも安全な場所に移動させることができないのです。

これは、そのときになってみたら非常に恐ろしい事態といえます。

まして、ロードサービスを呼べない、携帯電話が通じない場所で電欠になったらピンチです。

EVの充電切れだけは絶対起こしてはなりません。

デメリット⑩歩行者が気づきにくい

EVの走行音の静かさが仇となって、歩行者が車の接近に気づかず、事故につながるとの指摘も聞かれます。

確かに、音で車の接近を判断する歩行者もいるため、ドライバーは注意が必要ですが、最近は接近すると警告音が鳴る機能が搭載されたEVも増えており、安全面は向上しています。


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電気自動車のメリットも簡単に


さて、ここまでEVのデメリットのみを長々書き連ねてまいりました。

もちろん、次世代クリーンエネルギー自動車の代表格であるEVが、デメリットだけの存在であるはずがありません。

デメリットを上回る導入メリットが多数あるからこそ、日本も世界もいわば国策としてEV普及を推進しているのです。


最初に述べたとおり、EV普及の妨げとなっているデメリットの多くは近い将来、解消していく見通しであることは申し添えておきます。


ここで、そのEVの主なメリットを挙げておきましょう。


【EV導入の主なメリット】

  • 走行中にCO2を排出しない

  • 走行中に大気汚染物質の排気ガスゼロ

  • 揺れや振動が少ないスムーズな走り

  • ガソリン車より維持費を抑えられる

  • 長距離を走るほど燃費が抑えられる

  • 非常時に蓄電池として使える

  • 補助金制度が手厚い

  • 自動車関連の減税が受けられる

  • 国立公園の有料駐車場が無料になる

きっと、まだあるかもしれませんが、主なものを挙げただけでこれだけあります。


HVが岩盤シェアの日本、EVシフト遅れの一因に


日本では、これまで電動車開発の主軸をハイブリッド自動車(HV)に置いてきた経緯があります。

このため、海外機関の調査でも、新車販売台数に占めるHVのシェアは2019年(実績22%)から2030年(予測23%、世界平均7%)にかけて横ばいを見込んでいるのです。


日本では国内主要メーカーが、HV技術に長年にわたって多大な投資を行ってきたためですが、EVの普及が諸外国より遅れているのは、このためでもあります。

つまり、EVはHVにとって代わるのではなく、ガソリン車やディーゼル車の代替を果たしていくわけですが、HVが2割以上占めるという、特異な市場構造はハンデです。

EVもHVも同じ環境適応車とみて、ガソリン車からEVではなく、HVへ乗り換えるユーザーも一定数存在し続けることを意味するからです。


ガソリン車、ディーゼル車からの転換のみならず、既存、潜在も含めたHVユーザーをどれだけEVに連れてこられるかも課題といえるでしょう。


参照元:BCG 2020年1月2日市場予測レポート


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デメリット覆す!ガソリン高騰でEVのコストが優位に


エネルギー価格の高騰で、ガソリンが200円/Lに迫ろうとするいま、EVの経済性が改めて注目されています。

もちろん、電気代も上がっているのですが、同じ走行距離当たりで比較すれば電力はガソリンより圧倒的に安いです。


EVをガソリン車やディーゼル車と同じ感覚で使おうとすると、まだ不便な思いをするかもしれませんが、使い勝手は日進月歩で向上しつづけています。

EVのデメリットに目を向けるより、EVの更なる進化に期待して、皆さんのベストなタイミングでEVへシフトすることを強くおすすめします。


BYDは世界39の国と地域で乗用車事業を展開する中国最大手のEVメーカーです。

日本での販売拠点のひとつBYD横浜中央では、EVの展示試乗も行っています。


BYDの提供する BYD ATTO3の試乗レポートと、BYD DOLPHINの試乗レポートはこちらです!

ぜひあわせてご覧ください。

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