原油価格の高騰や円安の影響により、ガソリン代が上がりつつあることで、電気自動車への乗り換えを検討されている方もいらっしゃるかもしれません。
電気自動車の購入に際して、従来から広く利用されているガソリン車との違いは、事前に押さえておきたいところです。
この記事では、電気自動車とガソリン車の動力源や内部構造などの仕組みと、諸費用を比較してご紹介します。
双方の違いを知りたい方は、ぜひ本記事をご一読ください。
目次
電気自動車とガソリン車の仕組みを比較
それではさっそく、電気自動車とガソリン車を以下の項目に沿って比べていきます。
動力源
車内に蓄えた電気を動力源に稼働する電気自動車に対し、ガソリン車はガソリンを燃焼させ、エンジンを動かすことで走行します。
このエネルギー源によって、搭載されている装置にくわえ、走行中の振動や騒音にも違いが出ます。
ガソリン車は、エンジンを動かして走行する際にガソリンを燃やす仕組み上、振動や騒音が発生することは避けられません。
一方で、電気自動車は電気でモーターを回転させてタイヤを動かすため、ガソリン車と比べると音がほとんど気になりません。
内部構造
電気自動車とガソリン車の内部構造の違いは、モーターとコントローラーの有無にあります。
電気自動車は走行するための燃料となる電気を、バッテリーに蓄える必要があることから、バッテリー以外にもモーターやコントローラーが内蔵されています。
そのため、ガソリン車と比較すると車体は大型で、重量が大きくなりがちです。
ガソリン車にもバッテリーが内蔵されているものの、使用するのはエンジンを動かすときと、ライトや空調をつけるときなどに限られるため、サイズは小型です。
また、モーターやコントローラーがないので、車体の重さは比較的軽量に設計されています。
搭載されている装備によって、車体の大きさや重量にも違いが出るわけです。
燃費
燃費の違いも、電気自動車に乗り換えるうえで押さえておきたいポイントです。
電気自動車の走行コストは電気代にあたるため、“電費”ともよばれています。
電気代とガソリン代を比べると、電気自動車のほうが走行コストは安く済む傾向にあります。
なぜなら、ガソリン車はガソリン価格の変動によって、燃料コストが変動するからです。
いくら燃費の良い車種でも、ガソリン価格が高ければ、そのぶん燃費が上がってしまいます。
現在ガソリン価格が高騰している日本では、電気代よりもガソリン代のほうが割高になるのです。
そのため、ガソリン車と比較すると電気自動車のほうが、燃費を抑えられます。 【関連記事】 電気自動車は燃費(電費)がよい?【ガソリン車との比較付】
航続距離
バッテリーやガソリンを満タンにした状態では、ガソリン車のほうが長い距離を走れます。
電気自動車は、200~600kmほど走行できるのに対して、ガソリン車の航続距離は600~1,500kmほどです。
電気自動車の航続距離に幅があるのは、バッテリーの容量によってその距離が異なるためです。
バッテリー容量が大きいほど航続距離が長く、逆に容量が小さいと走行できる距離が短くなります。
前項でお伝えしたように電気自動車は走行コストが安い反面、航続距離はガソリン車と比べると短くなることが課題といえます。
電気自動車メーカーの努力によって、航続距離は以前から伸びてきているものの、いまだガソリン車には及びません。
【関連記事】 電気自動車で長距離を走るポイントを解説
給油・充電方法
走行するうえで必要なエネルギーの供給方法も、電気自動車とガソリン車では異なります。
ガソリン車の給油方法は、ガソリンスタンドのみですが、電気自動車は街中に設置された充電スポットにくわえて、自宅に設置した充電器で電気を供給することも可能です。
一定の距離を走行できるようになるまでの給油または充電は、ガソリン車のほうが短時間で済みます。
ガソリン車の給油は数分で完了するのに対して、電気自動車をフル充電するには、急速で充電したとしても30分程度はかかります。
しかし、利便性が高いのは電気自動車といえるかもしれません。
たとえば商業施設にある充電スポットなら、充電中に食事や買い物ができます。
充電中の待ち時間を有効に活用できることから、“充電を待っている”という感覚に陥らないわけです。
「わざわざ街中の充電スポットに行くのは面倒だ……」という方は、自宅に電気自動車の充電設備を設置すれば、就寝時に充電を完了させることも叶います。
このように、走行に必要なエネルギーを供給するまでに時間がかかるとはいえ、充電時間に負担を感じることがない電気自動車のほうが優れていると捉えることもできます。 【関連記事】 EVの充電スタンドを自宅に設置する方法や工事費用を解説
環境への配慮
走行中の二酸化炭素の排出量が少ないことから、ガソリン車よりも電気自動車のほうが環境にやさしいといえます。
ガソリン車は、走行する際にガソリンを燃やすので、どうしても車外に排気ガスが放出されてしまいます。
その点電気自動車は、製造する際に環境への負荷がかかるという課題が残っているものの、走行中は地球温暖化の原因となる二酸化炭素を一切排出しません。
このことから、温室効果ガスの排出削減策として、電気自動車を利用することが世界各国で推進されています。
くわえて、石油消費量の削減やそれに伴うエネルギー安全保障対策につながることも期待されており、電気自動車が今後ますます普及されていくでしょう。
電気自動車とガソリン車の費用面での違い
ここからは、電気自動車とガソリン車に関わる費用の違いをお伝えします。
車両の購入価格
一般的に、車両本体の購入価格が高いとされているのは、ガソリン車ではなく電気自動車です。
その理由は、電気自動車に搭載されている“リチウムイオンバッテリー”が関係しています。
原材料となるリチウムの値上げや、電気自動車の需要の増加が起因して、リチウムイオンバッテリーの供給不足が続いています。
このリチウムイオンバッテリーにかかる費用の高騰が、電気自動車の購入価格にも影響しているわけです。
しかし近年では、リチウムイオンバッテリーに含まれている、電極や電解液の種類を組み合わせることを意味する“バッテリーケミストリー”の改善によって供給が安定しています。
さらにリチウムの価格競争により、リチウムイオンバッテリーの価格も安定し、近い将来電気自動車の価格も、ガソリン車と変わらなくなることが期待されます。
優遇される税金
電気自動車は、ガソリン車と比べて購入価格こそ高いものの、税制面では優遇されます。
自動車の燃費性能に応じてかかる自動車税は、2026年3月末まで環境性能割が適応されて、電気自動車を購入する際は非課税となります。
また、排気量に応じて課税額が変動する自動車税の種別割によって、排気ガスが出ない電気自動車の税金は、最低額に設定されているのです。
さらに、条件を満たせば、以下の制度の適用が望めます。
電気自動車を購入する際に、適応される制度
項目 | 詳細 |
グリーン化特例 | ・令和8年3月末までに新車の新規登録を行った場合、翌年度の自動車税が75%程度軽減される ・対象となる車種は、電気自動車やプラグインハイブリッド車など |
エコカー減税 | ・環境性能に優れた車に対して、購入時の自動車重量税をはじめとする税金を減免する ・電気自動車やプラグインハイブリッド車でいえば、取得時や初回車検時ともに、税金が全額免除される |
こうした制度を活用すれば、ガソリン車より車両の本体価格が高くても、経済的・心理的ハードルを下げることが可能です。
購入時に活用できる補助金
電気自動車を購入する際には、ガソリン車では利用できない補助金を受け取れます。
電気自動車の購入時には、前項でご紹介した税金の優遇だけではなく、国や地方自治体による各種補助制度も用意されています。
“クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)”を例に挙げると、電気自動車の購入時に、費用の一部を最大85万円まで助成してもらうことが可能です。
ガソリン車よりも優遇される理由には、政府がカーボンニュートラルの実現のために掲げている、“2035年を目途に新車をすべて電気自動車にする”という目標が関係しています。
こうした目標の達成に向けて電気自動車の導入を支援するために、補助金を設けているわけです。
また、自治体によっては、電気自動車の導入を促進するために、独自の補助金を提供しています。
国や都道府県、市区町村が提供する補助金を、あわせて受け取れる可能性もありますので、ぜひお住まいの自治体ホームページをチェックしてみてください。
【関連記事】 電気自動車(EV)の税制優遇と補助金政策とりまとめ
車検にかかる費用
車検を受ける際に必要な費用を比べると、電気自動車のほうがコストを抑えて利用することが可能です。
車検費用の内訳は、車種ごとに法律で定められた法定費用と、検査手数料や整備料などの諸費用を含む基本費用の大きく2つです。
このうち、基本費用は依頼する業者や車両の状態によって金額が大きく異なります。
電気自動車は、その構造上、検査項目や交換部品もガソリン車と比較して少ないため、そこにかかる一部の費用を節約できます。
また、排気ガスを排出しないことから、排気ガスに関する試験はすべて免除されることも費用を押さえられる理由の一つです。
この先長く自動車に乗ることを考えれば、2~3年ごとに発生する車検の費用を削減できるのは、うれしいポイントといえます。
維持費用
メンテナンスにかかる費用もまた、電気自動車のほうがガソリン車よりも少額で済みます。
費用に大きく影響を与えているのが、エンジンオイルです。
電気自動車はエンジンオイルを必要としない構造なので、ガソリン車に要するエンジンオイルの交換が不要で、そのぶん費用を抑えられるわけです。
排気量が2000cc以下の一般的なガソリン車が、エンジンオイルを1回交換する場合の料金は、4,000~8,000円ほどになります。
高額ではないものの、半年~1年おきに交換するとなれば、長い目で見ると大きな出費です。
電気自動車は、ガソリンを使用しない性質上、長期的なランニングコストも、ガソリン車と比べて削減できるので、一つの車を長く愛用したい方におすすめです。
長期的に見ると、ガソリン車よりも電気自動車に乗るほうがメリットは大きい
今回は、電気自動車とガソリン車を、仕組みや費用面から比較した結果をお伝えしました。
燃費やエコロジカルな面では電気自動車が、車体の軽さと航続距離ではガソリン車が優れているといえます。
また、電気自動車は本体価格が高いものの、購入時に減税や補助金制度が設けられていることにくわえて、車検や維持費用を抑えることが可能です。
このことから、初期費用に対してランニングコストは、電気自動車のほうがリーズナブルでメリットが大きくなります。
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