電気自動車は燃費(電費)がよい?【ガソリン車との比較付】
- もっちー
- 2024年4月25日
- 読了時間: 16分
更新日:4月15日

電気自動車は「環境に優しい」「燃費(電費)がよい」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
単位走行距離あたりの燃費(電費)をきちんと比較すれば、電気自動車がガソリン車よりお得だとわかります。
本記事では、電気自動車の種類や燃費(電費)を抑える方法を紹介します。
エコなだけではなくコストパフォーマンスに優れた車に乗りたい! とお考えの方は、ぜひご覧ください。
目次
電気自動車は4種類に分けられる
ガソリンではなく電気で動く電気自動車は、二酸化炭素を排出しない環境に優しい自動車として注目を集めています。
電気自動車とは、電池や機能によって大きく4種類に分けられます。
BEV
BEVとは、Battery Electric Vehicleの略で、バッテリー式電気自動車のことです。
搭載されているバッテリーに電気を蓄え、モーターを駆動させて動きます。
一般的に電気自動車とよばれているものは、ほとんどがBEVを指します。
自宅に充電用コンセントを用意すれば、燃料を補給するために充電スタンドなどに行く必要がありません。
ガソリン車と比べて、非常に静かに走行できる点もメリットです。
HEV
HEVはHVとも表記され、ハイブリッド車を意味します。
トヨタの『プリウス』や日産の『ノート』などが有名です。
HEVの動力源は、電気モーターとガソリンエンジンの2種類です。
たとえば、発進時は電気を使用して、速度が落ち着いてからはガソリンエンジンに切り替えるなど、電気とガソリンを組み合わせて効率よく走行します。
HEVはブレーキをかけるなど減速したときに、モーターが発電機として作動し、自動でバッテリーに充電される仕組みになっています。
一方で、BEVのような充電ポートはなく、外部から充電できるわけではありません。
PHEV
PHEV(プラグインハイブリッド自動車)は、HEVに外部からの充電機能が備わったものです。
そのため、PHEVはガソリンスタンドと充電スタンドの両方を利用できます。
短距離なら電気のみ使用、長距離なら電気とガソリンをあわせて使用というように、走行距離に応じて効率的な方法で走行できます。
EVとHEVのメリットを兼ね備えた、経済的な自動車です。
なお、PHEVは充電だけでなく給電もできるので、キャンプや災害の場面では大型の蓄電池として活躍します。
FCEV
FCEVは燃料電池自動車と呼ばれる、水素をエネルギー源として走行する自動車です。
水素と酸素の化学反応で電気を発生させて、モーターを動かします。
電気を発生させたあとのメカニズムはBEVと変わりません。
走行中は二酸化炭素や大気汚染物質を排出せず、出るのは水だけという究極のエコカーです。
ただし、FCEVにエネルギーを供給する水素ステーションの数は全国にまだ168箇所(2023年5月現在)に過ぎず、インフラとしてはまだまだ数が足りません。
ガソリンスタンドはもちろん、一般的な電気自動車の充電スタンドと比べても少なく、FCEVの普及を妨げているというのが実情です。
水素ステーションの建設は安全規制が厳しく、ガソリンスタンドの倍以上の費用がかかります。
FCEVの利用者が少ないあいだは水素ステーションを運営する採算が取れないという点が、水素ステーションが増えない要因です。
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電気自動車の電費
ガソリン車では、燃料1リットルあたりの走行可能距離を燃費と言います。
燃費は数字が大きければ大きいほど、少ない燃料で多くの距離を走れるため「燃費がよい」と表現されます。
電気自動車はガソリンの代わりに電気で動くため、ガソリン車と同じ方法では燃費を計算できません。
電気自動車では、自動車同士を比較する際に「1km走行する際に必要な電力量」の値が用いられ、単位は「km/kWh」です。
「kWh(キロワットアワー)」は電力量の単位なので、燃費ではなく電費と呼ばれることが一般的です。
電費の単位には「1kWhで走行できる距離」を意味する「kWh/km」が用いられる場合もあります。
「km/kWh」の数字は大きいほど電費がよいといえますが「kWh/km」と表記された場合は、数字が小さいほど高性能になります。
電気自動車の電費の計算方法
電気自動車の電費は、自動車のカタログなどで確認できますが、掲載されている値はあくまでも目安で、実際の電費とは差があります。
実際の電費を計算する際に必要な数値は、走行距離と充電した電力量で、
「電費(km/kWh)=走行距離(km)÷充電した電力量(kWh)」という計算式が成り立ちます。
たとえば、200km走行した電気自動車が満充電までに25kWhを要した場合の電費は「200÷25」で8km/kWhです。
電気自動車の電費の平均
現時点での電気自動車の電費の平均は、6~7km/kWhです。
ただ、実際の電費は季節や走り方、エアコンの利用状況などによって変動します。
電気自動車を選ぶ際の基準の1つとして覚えておきましょう。
試験条件が異なると、電費の値にバラツキが生じてしまいます。
自動車のカタログに掲載されている電費は、そのようなバラツキを防ぐために厳密な基準のもとで測定されたものです。
日本ではJC08モードという基準が使われてきましたが、2018年からはWLTCモードという新たな基準が導入されています。
カタログなどを見る際は、同一の基準で測定された電気自動車に注目することで、正確に電費を比較できます。
自動車における燃費(電費)の比較
電気自動車はガソリン車とは異なる方法で電費を算出するため、条件を揃えたうえで、コストパフォーマンスを比較する必要があります。
それぞれの燃費(電費)から1kmあたりいくらかかるのかを算出し、電気自動車とガソリン車のどちらがお得かを確認してみましょう。
電気自動車の場合
ここでは、電気自動車の電費を平均的な6km/kwhと仮定します。
電気料金が1kWhあたり20円の場合、1km走るのにかかる金額は3円です。
なお、電気会社によって電気料金のプランはさまざまですが、夜間の電気料金が安くなるプランを契約すれば、夜間に充電して費用を抑えられます。
ガソリン車の場合
ガソリン車の燃費が15km/L、ガソリン料金が150円/Lとすると、1km走るのにかかる金額は10円です。
燃費が優れているハイブリッド車のプリウスでも、カタログに記載されている燃費が27.2km/Lで、ガソリン料金が150円/Lの場合、1km走るのに約5.5円かかります。
ガソリン車の燃費には自動車の種類によって幅がありますが、ガソリン料金150円/Lで計算すると、1km走るのに5円以上かかり、10円以上になることも珍しくありません。
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電気自動車がお得な理由
以上の比較から、電気自動車はガソリン車と比べてお得に利用できる、魅力的な存在といえます。
なぜ電気自動車がお得に利用できるのか、詳しい理由を解説します。
理由①電気料金が大きく変動しないため
ガソリン料金が原油価格によって左右される一方で、電気料金は比較的安定しています。
電気会社によって多少異なるものの、ガソリンほど頻繁な料金変動はありません。
電気料金が安定している以上、電気自動車がコスト面で優れているというメリットが突然変わる可能性は低く、お得に利用しつづけられます。
理由②メンテナンス箇所が少ないため
電気自動車はガソリン車より部品の数が少ないシンプルな構造です。
エンジンの代わりにモーターを動力源としているため、メンテナンスを要する箇所が限られています。
ガソリン車の場合は、部品の数がエンジンだけでも1万点以上です。
エンジンオイルなど定期的に交換しなければならない部品や消耗品が多く、そのぶん費用がかかります。
構成部品が少なくメンテナンスコストが抑えられる点は、電気自動車のメリットの1つです。
理由③自宅で充電できるため
一戸建て住宅の場合、設備を整えればご自宅でも電気自動車を充電できるため、ガソリン車のようにわざわざガソリンスタンドまで出向く必要はありません。
時間を有効活用できる一方で、電気自動車の充電により電気料金が高くなってしまうことを懸念する方も多いのではないでしょうか。
そのような場合は、電気自動車の充電を踏まえた電気料金プランを契約するのも一つの手です。
夜間に電気自動車を充電する場合、昼間と比べて料金が割安になるプランや、電気自動車を所有している場合に基本料金が安くなるプランもあります。
このような料金プランを選ぶことで、電気自動車の充電による電気料金の上昇を抑えられるでしょう。
なお、地域によっては、電気自動車向けの電気料金プランを契約することで補助金が交付されるため、電気代の負担を軽減できます。
理由④税制優遇が受けられるため
電気自動車を購入・所持する際、免税や減税といった税制優遇を受けられます。
その際、優遇される電気自動車の税金は、環境性能割・自動車税・自動車重量税の3つです。
購入時に納める環境性能割は、自動車がもたらす環境への負荷に応じて課される税金です。
環境性能が高い電気自動車は、自家用と営業用に限り、2026年3月31日まで非課税となっています。
年に一度納める電気自動車の自動車税には、排出ガス性能や燃費(電費)性能に優れた車の税金を優遇する“グリーン化特例”が適用され、おおむね75%減税されます。
また、自動車重量税では、エコカー減税の適用により電気自動車の新規登録時・初回車検時の重量税が免税されるうえに、5年目の車検で発生する自動車重量税も減額されるのです。
たとえば、2t以下の自動車に課される自動車重量税は3万2,800円ですが、エコカー減税が適用された場合は2万円となります。
理由⑤車両の購入時に補助が交付される
経済産業省は、自動車のガス排出量を低減させる目的で、エコカーの普及を促す“クリーンエネルギー自動車(CEV)補助金”を交付しています。
この制度により、電気自動車を購入する際には最大85万円、軽EVを購入する際は最大55万円の補助金を受け取れます。
さらに国とは別で、地方自治体が補助金制度を設けている場合もあり、CEV補助金との併用が可能です。
2つの制度をうまく活用すれば、電気自動車の購入費用をより安く抑えられます。
CEV補助金は申請期間が定められており、なおかつ新車のみが適用され、購入した車両は4年以上保有しなければならないといった適用条件を満たす必要があります。
詳しい申請期間や適用条件については次世代自動車振興センターのホームページをご確認ください。
地方自治体が行う補助金制度は、金額や条件が地域によって異なるため、まずはお住まいの地域でどのような政策が行われているのかチェックしましょう。
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参照元:次世代自動車振興センター
電気自動車で電費を抑える方法
電気自動車の電費は、季節や走り方によって左右されます。
エネルギー効率のよい走り方を知っておけば、電費を抑えることが可能です。
コストを下げたい方は、普段から意識しておきましょう。
方法①エアコンの設定温度を調整する
電気自動車のエアコンはバッテリーに蓄えられた電気を使って動きます。
エアコンの利用量が増えるほど、走行に使える電気が減ってしまうため、電費に与える影響は大きいと言えるでしょう。
エアコンの利用による電費の悪化を防ぐためには、設定温度を調整するのが効果的です。
ガソリンを燃焼する際のエネルギーを転用できるガソリン車とは異なり、熱源がない電気自動車は冷暖房に大きなエネルギーを要します。
エアコンの設定温度を調整すれば、そのぶん熱を生むために消費される電気が抑えられます。
エアコンを使う場合、設定温度は可能な限り夏は上げる、冬は下げることを意識しましょう。
方法②冬はシートヒーターを利用する
方法①で触れた通り、熱源がない電気自動車でエアコンを利用すると、電費が悪化してしまいます。
寒さが厳しい季節には、エアコンではなくシートヒーターの利用がおすすめです。
バッテリーの電気を使用する点はエアコンと変わりませんが、車内全体ではなく搭乗者を直接暖めることで、消費されるエネルギーを抑えられます。
しかし、シートヒーターは運転席と助手席のみについている場合が多く、後部座席に搭乗者がいる場合はエアコンを利用しなければなりません。
電費を意識しつつ、状況に応じてシートヒーターとエアコンを使い分けるのがよいでしょう。
方法③急加速や急ブレーキを避ける
急加速や急ブレーキも、電費を悪化させる要因です。
自動車の速度を上げるためには、多くの電気をモーターに送らなければなりません。
電気自動車には、ブレーキの際に運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する「回生ブレーキ」という仕組みがあります。
急加速や急ブレーキが燃費を悪化させるのはガソリン車も同様ですが、電気自動車の場合は回生ブレーキの効率が悪くなるため、一層エネルギーを無駄にしてしまいます。
方法④走行モードを使い分ける
電費を抑えるためには、走行モードをうまく使い分けることも大切です。
電気自動車の多くには、道路に合わせてモーター出力や電費を最適化する、走行モードの切り替え機能が搭載されています。
主な走行モードには、ノーマルモードのほか、素早い加速が特徴的なスポーツモード、またモーター出力を抑えて電費を向上させるエコモードの3種類が挙げられます。
日常的に使用するうえでは、ノーマルモードを選択しておけば間違いありませんが、市街地などを走行する場合、モーター出力を抑えたエコモードでも十分に走行可能です。
そのため、電費を安く抑えたい方は、路面状況が極端に悪い場合や高速道路を走行する場合を除き、エコモードで走行しましょう。
方法⑤タイヤの空気圧を管理する
電費を抑えて走行するには、タイヤの空気圧を適切に保つことも忘れてはなりません。
タイヤの空気圧が不足すると、走行時にタイヤが受ける抵抗が大きくなるため、余分な電力を消費してしまいます。
また、この状態で走りつづけるとタイヤの変形や摩耗の原因となり、タイヤの交換時期を早めることにもつながります。
タイヤの空気圧は定期的にチェックし、不足していた場合は空気を充填するように心がけましょう。
とはいえ、タイヤの空気圧を目視で判断するのは困難なため、カーディーラーやカー用品店で確認してもらうのがおすすめです。
近年は、車内のモニターで空気圧を確認できる電気自動車も登場しており、メンテナンスの時期を簡単に把握できるようになっています。
方法⑥必要以上の荷物を車内に積まない
電気自動車を運転する際は、車内に不要な荷物を持ち込むことは避けましょう。
重量が増加すると、モーターはその分多くの電力を消費するため、電費の悪化に直結します。
極端に重い荷物を載せないように普段から心がけることで、余計な電力の消費を抑えられます。
電気自動車を購入するうえで知っておきたい
最後に、電気自動車を購入するにあたって、知っておきたい3つのポイントを紹介します。
近年の電気自動車は性能の向上にくわえ、インフラ整備が進んだことで、ガソリン車と同じように扱うことができます。
以下では、快適なカーライフを実現するために、充電スタンドの数や一度の充電で走れる距離、充電のタイミングについて詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
ポイント①充電スタンドの数
電気自動車の充電スタンドの数は徐々に増加しているため、出先で充電が必要になった際に困ることは少なくなっています。
電気自動車の普及があまり進んでいなかった従来までは、充電スタンドの不足が課題とされていました。
しかし近年は、電気自動車の普及に伴い、充電スタンドの設置数も増加しているのです。
2025年現在、全国に設置されている電気自動車の充電スタンドの数は約25,000口で、ガソリンスタンドの約27,000か所に近づいています。
充電スタンドは今後も増加が期待されるため、電気自動車の利便性はさらに向上していくといえます。
ポイント②電気自動車の航続距離
近年の電気自動車は、メーカーの技術力が向上したことにより航続距離が大きく伸びたため、日常生活での走行から遠出まで、さまざまな用途で活躍します。
従来の電気自動車の航続距離は300km程度でしたが、現在は一般的なガソリン車と同程度の500kmまで伸びています。
ここでは例として、BYDが販売している電気自動車の航続距離を見てみましょう。
『SEAL』の場合、1回のフル充電につき航続距離は640kmで、一般的なガソリン車よりも長距離を走行できます。
このような航続距離の長い電気自動車を選べば、ガソリン車の走行に慣れている方でも、同程度かそれ以上の使いやすさを実感できるはずです。
また、航続距離の長い電気自動車は、充電頻度を抑えられるというメリットもあります。
通勤や近所への買い物など、日常的に電気自動車を使用する場合でも、あまりにも長い距離を走らなければ、一度の充電で数日間は走行可能です。
ポイント③電気自動車を充電するタイミング
ガソリン車の給油よりも時間がかかる電気自動車の充電は、タイミングを工夫することで効率的に行うことができます。
電気自動車の充電には、“普通充電”と“急速充電”の2種類があります。
充電にかかる時間は、普通充電の場合は数時間程度、急速充電の場合は30分程度です。
いずれも給油より時間がかかるため、一見不便に感じてしまうかもしれませんが、電気自動車には自宅でも充電できるというメリットがあります。
ご自宅で充電する場合、設置する充電器によっては数時間程度かかりますが、電気自動車を運転しない夜間に充電すれば翌日も問題なく走行可能です。
また、電気自動車で出かけた際に充電が必要となった場合は、目的地付近の充電スタンドを使用することで、用事を済ませるあいだに充電を行えます。
充電には多少の時間を要しますが、タイミングを調整することでこれまでのライフスタイルを崩さずに電気自動車を利用できるでしょう。
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電気自動車はガソリン車と比べて燃費(電費)がよい
今回は、電気自動車の種類やガソリン車との比較、燃費(電費)を抑える方法について解説しました。
電気自動車はガソリン車と比べて、1kmあたりの走行費用を抑えられます。
コストパフォーマンスに優れた電費のよい走行をするためには、電気自動車のバッテリー性能が重要です。
バッテリーメーカーとして創業したBYDは、電気自動車のバッテリーにおいても高い「航続距離」と「寿命の長さ」を実現しています。
バッテリーの技術革新を追求してきたBYDの電気自動車に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
なお、BYD ATTO 3の試乗レポート、BYD DOLPHINの試乗レポート、BYD SEALの試乗レポートも公開しているので、ぜひ合わせてご覧ください!