温室効果ガス排出抑制の要請を受けて、電気自動車(EV)が世界的潮流となってきました。
欧米中に普及率で遅れをとっている日本でも、2035年までに新車販売をすべて電動車とする目標のもと、充電箇所大幅拡充の方針が示され、本格的なEV導入へと動き始めました。
そこでこの記事では、改めて「EVとはなにか」にスポットをあて、現状と課題などを網羅的に整理しました。
購入に向け、情報収集を始めた方はぜひお読みください。
目次
電気自動車とは
電気自動車(EV)とは、ガソリンエンジンではなく電気モータで走る自動車のことです。
バッテリーに蓄えた電気でモータを動かしタイヤを駆動させます。
走行時にCO2(二酸化炭素)を排出しないので、カーボンニュートラルの実現に有効なエコカーとして、各国が普及に力を注いでいます。
電気自動車とガソリン車・ハイブリッドカーの比較
電気自動車とガソリン車、両者の中間的存在であるエンジンとモータの、2つの動力源を備えたハイブリッドカー(HV)の諸元の比較は次のとおりです。
【EV、ガソリン車、HV特徴比較】
| 電気自動車 | ガソリン車 | ハイブリッドカー |
維持費(燃費) |
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環境負荷 | 走行中のCO2排出量はゼロで環境に優しい | 排ガス中のNOx,CO2などの環境負荷が大きい | エンジン走行時はガソリン車と変わらないが総体で低い |
加速性能 | アクセルペダルを踏みこんでからタイムラグなくスムーズに加速 | エンジンはトランスミッションが必要なので加速性能はEVより悪い | 低燃費性を優先したため加速性能は低め |
価格帯(新車) | 300万~850万円 | 100万~300万円 | 200万~800万円 |
デメリット |
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補助金・減税制度 |
| 平成30年排出ガス規制50%低減車のみ税制優遇あり |
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電気自動車の種類
電気自動車(EV)と一般的によばれるのは、バッテリー式電気自動車(BEV)のことです。広義ではこれを含めて次の4種類あります。
BEV
BEVとは「Battery Electric Vehicle」の略で、ガソリンを使わず電気だけで走る車です。
エンジンがないのが特徴で、一般的にEVといえばBEVを指します。
ガソリン車に比べて燃費が良い反面、現状では航続可能距離が短い車種が多く、こまめな充電が必要です。
HEV(ハイブリッド車)
HEVとは「Hybrid Electric Vehicle」の略で、ガソリンで動くエンジンと電気で動くモータ、2つの動力を備えている自動車です。 HVと呼称されるのが一般的です。
HEVのモータは、エンジンが発電したエネルギーを利用するため外部電力が要りません。
HEVは電力だけでも走行できる「ストロングハイブリッド」と、モータでエンジンをアシストする「マイルドハイブリッド」の2種類に大きく分けられます。
そこからさらに、エンジンとモータの利用方法によって「シリーズ」「スプリット」「パラレル」という3つの動力方式に分けられます。
【ハイブリッド車の種別概要】
ハイブリッド車のシステム・方式・特徴
ストロングハイブリッド:エンジンを切ってもモータだけで走行可能
マイルドハイブリッド:発進や加速時などにモータでエンジン出力を抑える
シリーズ方式:エンジンはバッテリーへの蓄電のみ、走行自体は完全にモータ
スプリット方式:エンジンとモータの使用割合を適切に分割(スプリット)
パラレル方式:走行はエンジンが主体でモータはサポートに徹する
ストロングハイブリッドは、エンジンを切ってもモータ(電力)だけで走行可能な車です。
マイルドハイブリッドはエンジン走行を基本として、発進や加速時などにモータを使ってエンジン出力を抑える仕組みを採用しています。
ストロングハイブリッドの一つであるシリーズ方式は、バッテリーへの蓄電はエンジンで、走行自体はモータで行うもので、BEVと同じ加速感や乗り心地を実現したとされます。
もう一つのスプリット方式は、エンジンとモータの使用割合を走行状態によって適切に分割したのが特徴です。
発進時や低速時はモータのみで走行し、高速時にはエンジンも稼働させるシステムです。
マイルドハイブリッドのパラレル方式は、走行はエンジンが主体でモータはサポートに徹します。
エネルギー消費が大きい発進・加速時にモータが同時稼働して燃費効率を助け、コストを抑えるため、最近は低価格な軽自動車への採用が増えています。
PHEV(プラグインハイブリッド車)
PHEV「Plug-in Hybrid Electric Vehicle」の略称です。
エンジンとモータ、2つの動力装備はHEVと同じですが、外部電源が利用できるのがHEVとは異なる点です。
コンセントにプラグを指すことから「プラグイン」と名づけられました。
ガソリンを燃料源とできるため、充電スタンドを探すことなく不安ないロングドライブを楽しめるのは大きな強みです。
なお、便宜的にBEVと合わせてEVの扱いとしている自動車団体もあります。
FCV(燃料電池自動車)
FCEV「Fuel Cell Electric Vehicle」の略称で、燃料電池自動車のことです。
水素と酸素で電気を発生させる「燃料電池」を搭載し、水素スタンで水素を充填して走ります。
ガソリンを一切使用せずモータで走行するため、走行時には化学反応で生まれた水しか排出しません。
CO2を一切出さないゼロエミッションが一番の特徴です。
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電気自動車が走る仕組み
電気自動車は、アクセルを踏んだ量に応じてモータに電力を流して走行し、制御装置のインバータで速度を調節します。
高速道路で走行できる速度を維持できるため、ガソリン車と同じような走行が可能です。
電気自動車の動力源であるバッテリーに使われる充電池は、リチウムイオン電池、鉛電池、ニッケル水素電池などです。
リチウムイオン電池はエネルギー密度と寿命が優れ、1回の充電で走行距離の延長が可能です。
小型ですが、エネルギー密度が鉛蓄電池に比べて3倍以上あり、急速充電にも対応しています。
バッテリーの電力を駆動力に変換するモータには、回転数を制御する交流モータが使われ、電力を流すと、モータ内部のコイルがN極とS極に変化します。
コイルの変換により、磁石やコイルを回転させて駆動力をつくる仕組みです。
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電気自動車の充電方法
電気自動車の充電は、どこで行うのでしょうか? ここからは、電気自動車の充電ができるスポットや、自宅での充電方法について解説します。
普通充電
充電設備は出力の違いによって、「普通充電器」と「急速充電器」に分けられます。
充電器は100Vまたは200Vのコンセントで車に充電するもので、出力は平均3~6kWです。
充電スピードは遅く、出力が3kWの場合、40kwhのバッテリーを搭載した車をフル充電にするには16時間ほどかかります。
現実には電池残量10%を切ったら充電するでしょうが、そこからフル充電に持っていったとしても12時間ほどかかる計算です。
設備は急速充電器より小型で、設置しやすく、戸建て住宅やマンション、屋外駐車場、スーパーの駐車場などに設置されています。
普通充電のメリット
自宅で普通充電器を使って電気自動車に充電するメリットは、日中料金より割安な夜間電力を使って、帰宅後、翌朝までの時間帯に必要な充電を済ますことができる点です。
12時間未満ではフル充電は難しいかもしれませんが、残量80%まで充電して帰宅時には20~30%というパターンが実際には多いでしょうから、実用性は十分なはずです。
普通充電で使う機器は3タイプ
電気自動車を自宅で充電する方法は、「コンセントタイプ」「スタンドタイプ」「V2H機器」の3種類です。
コンセントタイプは電気自動車に標準装備されている充電用ケーブルを使用し、住宅の外壁などにあるコンセントから充電する設備で、一般に広く普及しています。
スタンドタイプは自立するタイプの充電設備で、スーパーなど商業施設の駐車場でよく見かけます。
V2H機器は、車に充電した電気を逆に家庭に戻し、非常用電源などとして使うための設備です。
ただし、すべての電気自動車がV2Hに対応しているわけではありません。
普通充電器の設置費用
これら充電用コンセントを設置するには、第二種電気工事士以上の資格をもった専門業者に依頼する必要があります。
電気自動車の充電には、家電製品用に使用する一般的なコンセントではなく、「EV・PHEV充電用」という専用のコンセントを使用します。
充電用コンセントの設置には、工事費用を含めて10万円前後、スタンドタイプは本体だけで20万円以上、V2H機器は50万〜90万円ほど必要です。
急速充電
普通充電器が自宅用充電だとしたら、急速充電器は高速道路のSAやPAなど公共の場所に設置されている設備です。
電気を直流に変換して充電する仕組みで、20〜50kwの高出力で充電するため、先ほどの40kwhのバッテリー搭載車なら1時間もかからずフル充電できます。
急速充電器は大型設備のため、高速道路内SA・PAのほか、道の駅、ガソリンスタンド、コンビニ、街中の専用充電スポットなどに設置されています。
なお、急速充電器は大型で設置費用も普通充電器より大幅にかかるので、戸建てや集合住宅に設置されることはほとんどありません。
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電気自動車を利用するメリット
冒頭の比較一覧表にも少し書きましたが、電気自動車には既存のガソリン車やディーゼルエンジン車、ハイブリッドカーなどにはないメリットが多々あります。
ここで改めて確認していきましょう。
メリット①環境に配慮できている
各国政府が電気自動車の導入・普及策を進める第一の理由が、高い環境性能です。 すなわち、化石燃料を一切使わず、エンジンも燃焼工程もない電気自動車は、温室化効果ガスの主因であるCO2を排出せず、環境負荷がかかりません。
発電時や車体製造時を含めた、ライフサイクルアセスメント(LCA)でみたCO2排出量は、ゼロというわけではありませんが、それでもガソリン車の半分程度です。
東日本大震災(2011年)での原発停止以降、電源構成を火力発電(すなわち化石燃料)に大きく依存しているわが国は、電気をつくる段階でCO2が発生してしまっています。
その電気で走る電気自動車の環境性能が、疑問視されるのも無理からぬところですが、いずれ、太陽光や風力などの再エネ電源が増えるのを待つしかなさそうです。
メリット②静かに走行できる
バッテリーとモータのみで走行する電気自動車は振動が少なく、音も静かです。
アクセルを踏んでから加速までのタイムラグがない、快適な乗り心地とパワフルな走行が電気自動車の特長です。
エンジンを稼働させて走るガソリン車ではこうはいきません。
メリット③燃費がよい
電気で走る電気自動車は、ガソリン車より燃費(電費)を大幅に抑えられるのが利点です。
民間調査機関の調べによると、1万㎞走行するのに必要なEVの充電量は約5万2,000円に対し、ガソリン車は約11万円と2倍以上の差がひらいています。
メリット④加速性能が高い
電気自動車はガソリン車より加速性能が優れています。
モータは、電気が流れた瞬間から最大トルクを発生するのが特性だからです。
アクセルペダルによって流れる電気の量をコントロールすることで、エンジンのような振動や騒音、タイムラグを発生せずに加速していくことができます。
メリット⑤車両に充電した電気を使うこともできる
自然災害などで停電した際、蓄電池である電気自動車は非常用電源として活用できます。 車種や世帯数によって変わってきますが、フル充電であれば、1人暮らしで6~9日、4人世帯で3~4日は、生活できるとされています。
なお、EVに蓄えた電力を非常電源として使うには、車載コンセントや前述した「V2H」システムが必要です。
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電気自動車のデメリット
先進技術である電気自動車は、こうした多くのメリットがある反面、今後改善・解決を要する課題も現状デメリットとして残っています。
デメリット①自宅に充電設備が必要になる
先ほどの話の繰り返しになりますが、電気自動車は自宅に充電設備がないと使うことが難しい製品です。
コンセントがない家で家電製品が使えないのと同じです。
家の近隣に、急速充電スタンドがあれば別ですが、有料会員になる必要があるので、ベース充電をそこに依存するようになると、せっかくの維持費安のメリットが薄れてしまいます。
逆に、これが普通充電器であったら、自宅の駐車場以外に長時間車を停めておくストレスに見舞われるでしょう。
自宅に設置する充電用コンセントは工事費込みで10万円以上、スタンドタイプは20万円以上の工費が必要です。
それだけの出費を痛いとみるか、その程度で済むとみるかで“デメリット”の評価が変わってきます。
デメリット②充電に時間がかかる
普通充電器でゼロからフル充電するには、40kWhのバッテリーの場合、3kwの充電器では約16時間、6kwの充電器では約8時間かかります。
急速充電設備の大容量タイプはずっと速いですが、それでも空に近い状態の電池を80%まで充電するのに15~30分、中容量タイプでは30分~1時間程度必要です。
ガソリン車なら3~5分あれば残量ゼロから満タンにできることを考えると、急速充電器といえども、まだ待ち時間の潰し方を考えておかないといけないレベルです。
デメリット③車両価格が高い
補助金を活用しても、電気自動車はまだまだ高い買い物です。
主要部品はモータとバッテリーだけといっても、リン酸鉄リチウムイオン電池や三元系リチウムイオン電池に使われる希少金属が極めて高価だから、ということもあります。
現在発売されているEVの新車価格は、高級車種では850万~1,000万円程度、標準タイプの車種で400万~500万円程度、軽タイプのEVでも250万~300万円程度です。
ここから補助金やエコカー減税分を差し引いても、100万円台が主流となっているガソリン車に比べると、高価な買い物といえるでしょう。
さらに、まだまだ車種も少ないため、見た目や乗り心地、乗用人数などをあまり自由には選べないのも難点です。
電気自動車は今後普及するか?
そんな電気自動車ですが、日本では現状どの程度普及しているかというと、諸外国と比較して極めて低い水準にとどまっています。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が公表している乗用車全体の販売台数に対するEV(BEV、PHEVの合計)の割合推移は以下のとおりです。
国内乗用車販売台数に占めるEVの年別割合
2018年:1.7%(BEV:0.9%/PHEV:0.8%)
2019年:1.4%(BEV:0.8%/PHEV:0.6%)
2020年:1.2%(BEV:0.6%/PHEV:0.6%)
2021年:1.8%(BEV:0.9%/PHEV:0.9%)
2022年:3.1%(BEV:1.4%/PHEV:1.7%)
“EV元年”とされた2022年は普及率3%台に乗せましたが、BEVだけのシェアは1.4%でしかありません。
この統計には、軽タイプのEVは含まれていないので、これを含めた2023年9月時点の最新数値は、BEV2.5%、PHEV1.5%の合計4.0%となっています。
対して、諸外国はどうかといえば(2022年)、スウェーデン30%、イギリス23%、中国、フランス、オランダ、デンマーク20%、米国8%と日本より格段に高い国ばかりです。
北欧に至っては、ノルウェー88%、スウェーデン52%と圧倒的です。
日本でEVの普及が遅れているのは、バッテリー寿命への懸念、車体価格が高い、航続距離が短い、充電スポットが少なくて不安、などの理由によります。
要するに、これらの弱点を今後、克服していけばEVは日本でも普及していく可能性があるわけで、それにはやはり、国の政策や方針が強力な推進力となります。
日本政府も「2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%を実現する」目標を掲げ、ガソリン車販売禁止の方針を打ち出しました。
また、この目標にあわせて公共用の急速充電器3万口を含む充電インフラの数を、2030年までに30万口へ増設することを明らかにしました(現状は約2万口、うち急速は8361口)。
政府のいう電動車には、EVやPHEVだけではなく、HEVやFCVも含まれていて、すべての車をEVにする、というわけではありません。
EVへの全面的シフトに邁進する諸外国に対し、日本がEV一辺倒のスタンスを取れないでいるのは、長年国内産業をリードしてきた自動車業界への配慮もあるのでしょう。
しかし、今後は、日本でもEV普及が着実に進んでいくはずです。
国は補助金政策、税制優遇や充電インフラなどの拡充政策を推進するでしょうし、内外メーカーの市場参入も続くとみられるからです。
諸外国から周回遅れの状況は一朝一夕に変えられないにせよ、今後長く続く電動車ブームは人々の生活や意識を確実に変えていくのではないでしょうか。
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電気自動車を買う際に補助金は受けられる?
EVを購入する際の大きな前提となるのが、国や地方自治体からの補助金です。
EVの購入計画は現状、「補助金がいくら出るのか」の確認から始まるといっても過言ではありません。
詳細に触れる前に、まずは2023年度の国の補助金のアウトラインを表にまとめたのでご覧ください。
ここでいう2023年度とは、新車の初度登録(届出)日が2023年4月1日以降のものが対象という意味になります。
【2023年度EV補助金の概要】
2023年10月現在、国の補助金は「CEV(クリーンエネルギー自動車導入促進)補助金」の1種類で、個人のほか地方公共団体や企業も受給対象です。
そのCEV補助金の2023年度の上限額は85万円、小型・軽EV、PHEV補助金の上限額は55万円です。
自治体の補助金との併用もできますから、居住都道府県や車種によっては100万円を大きく超える補助金を受けられます。
補助金を申請する際の注意点
予算事業ですから、国、自治体とも、交付条件や限度額は毎年変わります。
申請する前に、常に最新情報を入手してください。
予算額がいっぱいになったら、そこで当該年度の受給は終了です。
申請の受付は先着順なので、予定が決まったら早めに動きましょう。
補助金の対象は、国、自治体とも基本的に新車の購入に限られます。
いわゆる新古車を含め、中古のEVを購入する場合は補助金が交付されません。
CEV補助金は予算年度に2つ存在
少々ややこしいのは、CEVの補助金事業はひとつの予算年度に、前年度の補正予算と当年度の本予算の2つが存在する、ということです。 2023年10月の時点では、「令和4年度補正予算」と「令和5年度当初予算」でそれぞれCEV補助金の公募が行われています。
2つの補助金の条件は同じであり、2023年度の予算額は令和4、5年度合わせて900億円として統一的に執行されています。
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電気自動車購入に対する税制優遇措置
電気自動車を含め、国が定める環境適合車(エコカー)には税制優遇措置が講じられてきました。
2023年度現在も継続するそれら2つの税制優遇策を見てみましょう。 補助金と合わせて、エコカー購入のインセンティブとなる制度です。
エコカー減税・グリーン税制のあらまし
エコカー減税:自動車重量税を全額免除。燃費や排ガス性能に優れた車が対象
自動車税のグリーン化特例:自動車税を減税
環境性能割:燃費基準達成度に応じて減税、EVは免税
エコカー減税は、環境性能の高さに応じて自動車重量税が25~100%減税・免税される制度です。
2023年4月30日で廃止される予定でしたが、世界的な半導体不足で新車の納期が遅れたため、2023年12月31日までの延長が決まり、現在も減税制度が継続されています。
その後、2024年1月以降2026年4月30日までは、エコカー減税の税率は段階的に引き上げられることになっています。
初回車検における「免税」「減税50%」「減税25%」が適用される燃費基準(2030年度)の達成度が2024年1月1日と2025年5月1日の2回、厳格化される予定です。
例として、2023年12月31日まで自動車重量税の50%減税の対象である燃費基準達成度75%の電気自動車をみてみましょう。
当該自動車の減税率は2024年1月1日からは25%に圧縮、2025年5月1日からは本則税率となり、減税措置を受けられなくなります。
一方、自動車税、軽自動車税には、排出ガス性能及び燃費性能に優れた自動車に対し、新規登録した翌年度の税率をおおむね75%軽減するグリーン化特例があります。
軽減されるのは1年のみで、翌年度は通常の税率適用となるので注意が必要です。
対象は、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、PHVの4車種です。
グリーン化特例は2023年の3月31日までの適用期間が、2026年3月31日まで3年間延長になりました。
旧自動車取得税を引き継ぐ形で、2019年に導入された環境性能割は、「取得金額」×「環境性能割の税率」で税額が計算されています。
現在の税率は、普通自動車の場合、2030年度燃費基準の85%以上達成車が非課税、75%達成車と80%達成車が1%、60%達成車と70%達成車が2%、60%未満達成車が3%です。
EVなどは26年3月末まで非課税が決まっています。
この対象は、グリーン化特例と同じで、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、PHVの4車種です。
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電気自動車に関してよくある質問
電気自動車の購入を検討している未来のユーザーに、電気自動車に関する質問を募ったところ、次のような回答が上位を占めました。
電気自動車についてよくある質問
EVを所有するメリットは?
不便なところ、問題点は?
自宅で充電器を設置する費用は?
充電が切れるときのサインは?
充電スポットの探し方は?
電気自動車のメンテナンスは?
洗車機に通しても問題ない?
これらの疑問のなかから、ここでは代表的な2つの質問に絞って簡潔な回答を紹介します。
電気自動車の維持費はどれくらい?
同クラスの車種同士で比較すると、EVのほうが安いのはエコカー減税が適用される「自動車税」と「自動車重量税」、ガソリン車が安くなりそうなのが「任意保険料」です。 しかし、電気自動車とガソリン車の維持費の最大の違いは、やはり走行コスト、すなわち単位距離あたりの燃費(電費)です。
直近の燃費(電費)で比較してみましょう。
月に1,000km走った場合、15km/Lのガソリン車の燃料代は月間1万1,390円、EVは電費11~15円として2,500円程度なのでその差は約4.5倍、9,000円近くにのぼります。
バッテリーは劣化しないのか?
電気自動車のバッテリーに使われているリチウムイオン電池の寿命は、一般的に「8年または16万km」が目安とされています。
これ以下であれば、劣化が一定以下で済むように計算されているのです。
ガソリン車の寿命が「13年または15万km」程度なので、電気自動車とガソリン車の寿命は、走行距離ではさほど変わらないわけです。
EVバッテリーの劣化がガソリン車より5年程度早いのは、航続距離がガソリン車より短く、それだけ充電回数が増えるからだとされています。
長寿命・低コストのLFPバッテリーの標準装備、もしくはそれ以上の性能のバッテリーが将来的に普及していけば、電気自動車の寿命も延びていくでしょう。
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コスパの良い電気自動車をお求めならBYDがおすすめ!
バッテリーメーカーとして創業し、2003年に自動車事業に参入したBYDは現在、世界6大陸・70超の地域、400超の都市でEVを展開する最大手の電気自動車メーカーです。
BYD製EVの特長は、なんといってもコストパフォーマンスが良いことでしょう。
バッテリーメーカーとして創業した強みを活かし、心臓部には独自開発した「ブレードバッテリー」というLFP(リン酸鉄リチウムイオン系)電池を搭載しています。
長寿命・低コストを実現したこのブレードバッテリーを同社製のすべてのEVに使用し、レアメタル依存のリチウムイオン電池の高コスト構造からいち早く脱却しました。
また、多くの部品を内製化してコストを下げる工夫や、他社がオプションとする機能も標準装備するなど、一貫して高コスパを追求してきた設計思想が各モデルに息づいています。
そんなBYD製EVラインナップのなかから、ここではATTO3とドルフィンを取り上げます。
ATTO3
2023年1月、日本で最初に発売されたBYD社のEV『ATTO3』は、BYDのEVラインナップではミドルサイズSUV(スポーツ多目的用)という位置づけになります。
ナビゲーションパイロットや予測緊急ブレーキシステム、BYDアラウンドビューシステムなど先進技術による安全機能を標準装備。
90度回転するタッチスクリーンはカーナビのほか、動画や音楽も楽しめます。
開放感をもたらすパノラマサンルーフや電動シートも全車に標準装備されており、居住空間の快適さを重視しているのが特徴です。
インテリアはフィットネスジムと音楽を意識した独創的な見た目となっています。
価格は440万円で、他社の同スペックの車より40万~60万円ほど安値。
国から65万円の補助も受けられます。
航続距離は470kmの同クラスの他社EVと同レベルです。
ボディサイズは4455×1875×1615mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2720mm。
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DOLPHIN
ATTO3に続く日本導入第二弾が、ATTO3よりひと回りコンパクトなハッチバック車『ドルフィン』です。
9月20日に発売開始となりました。
海を泳ぐイルカをイメージした力強さと、丸みを帯びた愛らしい外見が目を引きます。
操作性が高く小型で小回りがきくほか、一般的な機械式駐車場にも入れられるなど、狭い都会使いにも配慮した設計となっています。
また、高齢者が多い日本市場を意識してペダル踏み間違いで加速することを抑制する「誤発進抑制システム」もついていて安心です。
室内空間は、とてもゆったりしており、特に後席のスペースは足元が広々として頭上の余裕もあるので、チャイルドシートに座る子どもがいても大丈夫です。
航続距離が400kmのスタンダードモデル(363万円)と、航続距離が476kmのロングレンジモデル(407万円)の2タイプがあります。
どちらも国から65万円の補助金が受けられます。
ボディサイズは4290×1770×1550mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2700mm。
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いかがでしたでしょうか。
環境性能に優れ、維持費も安いエコカー・電気自動車(EV)の普及競争が先進各国のあいだで加速しつつあります。
わが国でも「2035年までに乗用車の新車販売を電動車100%にする」目標が示され、脱ガソリン車へと大きく舵が切られました。
航続距離の問題や充電インフラの不足から、普及率では先行した欧米中に遅れをとっていますが、今後の巻き返しが期待されます。
この記事では、私たちの身近に迫ってきたEVについて、一からよく知ってもらうため、EVに関するあれこれを網羅的に紹介しました。
BYD AUTO横浜中央では、最新EVを体験していただくため「ATTO3」と「DOLPHIN」の試乗予約を承っております。
この機会にぜひお越しください。
なお、BYDの誇るBYD ATTO 3の試乗レポートと、BYD DOLPHINの試乗レポートも公開しています!
ぜひあわせてご覧ください。