昨今では、電気自動車(EV)について、目にし、耳にすることが増えてきました。
多くの方にはまだ、その走りは未知の領域にあることでしょう。
乗り心地だけでなく、走りと操作性はガソリン車と比べてどれほど違うのかは、気になるところですよね。
こうした不安にお答えすべく、本記事では電気自動車の運転とガソリン車との違いについて解説いたします。
来たるべくEVライフのために、ご一読いただければ幸いです。
目次
「電気自動車の運転に慣れるまでには時間がかかる」は本当なのか?
「電気自動車は運転に慣れるまで時間がかかる」とよくいわれます。
ガソリン車に長く乗った人ほどそう思うようです。
実際に、最近5つの車種に試乗した米国人のレポートによると、電気自動車は多くの点でガソリン車と使い勝手や配慮すべき点が異なり、運転を学び直したと書いています。
「ドアの開け方」「車の電源の入れ方」「「運転の仕方」「スタートの確認方法」「充電スポットでの駐車の仕方」など、ガソリン車とも違うしメーカーによっても違うそうです。
レポートの内容の一部をご紹介しましょう。
電気自動車のガソリン車と異なる操作法例
EVのドアの開け方はメーカー毎ごとに個性を競っており、他人の車においそれとは乗り込めない
テスラやVWのEVには電源がなく、スマホアプリかカードキーで電源を入れる。さらにブレーキペダルを踏んで運転システムを起動する
静音のためエンジンの始動が確認しにくい
ほとんどのEVは回生ブレーキによって、アクセルだけで車を運転する「ワンペダル走行」が可能だが、初めは素早い自動的な減速に不安を感じるかもしれない
多くの充電ステーションでは、充電ケーブルが短く、ノズルを充電口に差し込めるよう、車を後ろ向きで駐車する必要がある
興味深いレポートですが、これは、メーカーの異なる5つの車種に試乗した体験記ですから、現実にそんなに乗り分けることはない、一般ユーザーの“参考”になるかはわかりません。
要は、どれほど目新しいテクノロジーであっても、慣れるしかないし、慣れてしまえば、今度はガソリン車に戻りづらくなるというだけの話ではないでしょうか。
実際、このレポートでも「多くのEVでは回生ブレーキの設定をオフにしたり、利き具合を最小限にしたりできる。ただ、慣れてしまえばワンペダル走行は快適だ」と述べています。
電気自動車といっても、運転の基本操作はガソリン車と変わらないので、マイEVの運転に慣れるまで長時間を費やすことはないはずです。
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ガソリン車とは異なる電気自動車の注意点とは
電気を使う特性上、運転時や取り扱いには「電化製品」としての配慮が必要になるのは確かです。
以下に、ガソリン車とは異なる電気自動車の特性および注意点をまとめてみました。
【購入する前】
充電スポットの場所をあらかじめ調査
自動車の航続距離を確認
メンテナンスの項目を確認
【走行中】
EVならではの素早い加減速に注意
【取り扱い時】
タイヤの状態を小まめに点検する
メンテナンスの際は、電気系統に触れないように注意
バッテリーの劣化に気をつける
充電中の洗車はしない
事故が起きたらすぐに車から離れる
ペースメーカーや除細動器等の利用者は急速充電器に近づかない
電気自動車の走行に必要な充電場所は、自宅敷地に設置するか、街中の充電スポットを探すことになりますが、ガソリンスタンドと違って急速充電器はまだ絶対数が不足しています。
充電スポットは今後急ピッチで整備されていくはずなので、それまでの辛抱かもしれませんが、今はまだ、電気自動車を買うなら充電方法を確保してからのほうがよいでしょう。
電気自動車ももちろん、メンテナンスが必要ですが、構造がシンプルなので項目はガソリン車ほど多くありません。
走行中のスムーズすぎる加速(踏み込みすぎると危険)、アクセルから足を離しただけで実感できる減速といった電気自動車ならではの走りに慣れるまでは、慎重に運転しましょう。
次に電気自動車の取り扱い時は、バッテリー荷重により車体の重量が重く、ガソリン車に比べてタイヤが早く摩耗しやすいため、日ごろからの小まめな点検をおすすめします。
電気自動車の内部には、最大約400Vの電流が流れています。
ですから、メンテナンスの際は、高電圧ケーブルやコネクター、モーター、リチウムイオンバッテリーなどには絶対に触れないでください。
感電の危険がある箇所には注意を促すテープが貼られているため、購入時にこれらの箇所を確認しておきましょう。
また、バッテリーの劣化を避けるため、外気温が49℃を超える環境や、マイナス25℃を下回る環境に長時間放置しないことも重要です。
こまめで適量な充電(電池残量の変動は20~80%内でとどめるのが理想)を心がけることも、バッテリーを長持ちさせる秘訣といえます。
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【項目別】電気自動車の運転性
慣れてしまえば運転は問題ないものの、取り扱いの注意点も多い電気自動車ですが、心配は不要です。
ここからは、電気自動車のポジティブな特性を一挙に紹介していきます。
まずは、4つの項目に分けて、優れた運転性や性能の良さを解説します。
静穏性
ガソリン車はエンジンを稼動させて走るので、どうしても振動や音が発生します。
それに対して電気自動車は、バッテリーとモーターのみの走行なので、走行音や振動も少ないのが特長です。
ガソリン車のようなエンジン始動時の音や、アイドリング中のエンジン音や振動もなく、急な加速をかけても静かです。
早朝や夜遅くに住宅街を走るときでも、周囲への騒音の心配はありません。
加速性
電気自動車の大きな特長は、強い加速力です。
モーターで走る構造上、発進時から最大トルクを発生させ、アクセルを踏んだ瞬間にタイムラグなく一気に加速します。
滑らかでスムーズな加速によって、高速道路の合流もストレスがありません。
電気自動車を運転してみて、ガソリン車との違いをもっとも体感するのはこの加速性だと多くの体験者が口を揃えます。
環境性
排気ガスを一切出さない電気自動車のメリットの一つは、「環境に優しい」という点です。
ガソリンエンジンを用いず電気で走るため、地球温暖化要因の二酸化炭素(CO2)も、大気汚染物質の窒素酸化物(NOx)も排出しません。
排気ガスの苦手な方やアレルギー性の方も、安心してお乗りいただける車です。
燃料の経済性
バッテリーに蓄えた電気で走行する電気自動車は、ガソリン車に比べて圧倒的に燃料費が安いです。
補助金を入れても170円/L台という、驚異的なガソリン高値の昨今、電気自動車との経済性は大きく開いており、その意味では今が買い替え乗り換えの好機かもしれません。
自宅に充電用コンセントやスタンドを所有しているのであれば、割安な深夜電力の利用で電気代をさらに抑えることができます。
また、自宅のソーラーシステムで蓄電した電気を使えるのであれば、電気自動車の燃料コストを限りなく無料に近づけることも可能です。
非常用電源としての利用
停電や災害などの際には、電気自動車のバッテリーから電力を取り出して、家庭用電源として使うことができます(別途、V2Hなどの給電機器が必要です)。
地震や台風などの自然災害が頻発するわが国で、電気自動車は非常用電源ともなり、もしものときに安心です。
航続距離
電気自動車の航続距離はクラスによって分かれますが、軽EVで200km前後、バッテリー容量40~70kwhの普通車クラスで400~600km程度です(いずれもカタログ値)。
電気自動車の性能はどんどん上がっていますが、航続距離では満タン給油で600~1,500kmも走るガソリン車にはまだ及びません。
それでも、航続距離が500km程度であれば「ガソリン車と遜色ない航続距離がある」と言えそうです。
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電気自動車に試乗した人からの声
一般社団法人「次世代自動車振興センター」が2016年に実施した、クリーンエネルギー自動車の体験試乗会で電気自動車(日産リーフ)に試乗した方のアンケートをご紹介します。
主婦からモーターファンまで、一様に「満足」と評価したその乗り心地とはどのようなものだったのでしょうか。
参照元:一般社団法人 次世代自動車振興センター「車両性能はいいの?」
口コミ・感想①「静かな走行」
試乗者の声で圧倒的に多かったのは、電気自動車の「静かな走行」に対する評価でした。
項目別の複数回答ですが、実に9割の方がこの点を評価ポイントに挙げています。
「ほとんど走行音がしない」「ガソリン車との違いを体感した」と、電気自動車の“異次元の走り”に驚きの声が上がりました。
口コミ・感想②「加速がなめらか!」
次に評価の高かったポイントは、電気自動車の「加速の速さ」です。
「静かで加速がよくてビックリした」「電車のような静かで力強い加速が印象的」など6割の方が電気自動車の加速の凄さに言及しています。
口コミ・感想③「振動がない」「環境性能」
電気自動車の「振動の低さ」「環境性能が高い」「運転しやすい」利点にも、3割近い支持が集まりました。
「ガソリン車のような音も振動もなく疲れにくい」「排気ガスがまったく出ない」「思った以上に運転しやすい」など、電気自動車ならでは特性に対する評価が多いですね。
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電気自動車の普及が今後進む理由
新車販売台数に占める電気自動車の比率は、軽タイプのEVが売り出された2022年度から上昇し始めましたが、いまだ4%程度で20%以上の諸外国に大きく遅れています。
ですが、日本にとってはここが事実上のスタートラインです。
電気自動車の環境特性や静かでスムーズな走り、燃費(電費)の良さやメンテナンスコストの安さといった利点は、ガソリン車やハイブリッド車にはないものです。
エコロジー重視の現代は、脱炭素化が至上命題ですが、電気自動車はその最有力ツールの一つといえましょう。
政府も2035年までに自動車の100%電動化を進め、ガソリン車の新車販売を禁止する声明を出しており、電気自動車の普及は国の既定方針ともなっているのです。
車両の低価格化、航続距離の改善、充電インフラの拡充といった課題はありますが、これらが解決に向かえば、電気自動車の普及に弾みがつくことでしょう。
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電気自動車の運転は慣れてしまえば問題なし!多くのメリットを享受しよう
いかがでしたでしょうか。
電気自動車の扱いは、さまざまな点でガソリン車と異なっており、最初はとまどうこともあるかもしれませんが、感覚的に慣れてしまえば、特段支障はありません。
電気自動車は静音性、加速性、経済性、非常用電源としての用途など、ガソリン車にはないさまざまなメリットがあり、早期の本格的普及が待たれます。
BYD横浜中央店では、電気自動車の最新モデルである『DOLPHIN』と『ATTO3』の展示・販売窓口としてお客様対応を行っております。
試乗予約も承っておりますので、この機会にぜひ、EVならではの「静かでスムーズな加速」と「排ガスゼロの走り」を体験してください。
なお、BYD ATTO3の試乗レポートと、BYD DOLPHINの試乗レポートも公開中です!
あわせてご覧ください。