電気自動車は環境にやさしく、スマートな乗り心地が魅力です。
しかし、電気自動車に興味があるものの、「冬に弱い」という点を懸念されて、なかなか購入に踏み切れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、電気自動車が冬に弱いと言われる理由と、冬場でも安全に乗るための対策を解説します。
「冬場でも乗れるのか気になって、電気自動車の購入を躊躇している」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
冬場でも電気自動車には乗れるのか?
結論として、冬場でも電気自動車に乗ることは可能です。
ただし、ほかの時期と比べて、パフォーマンスが低下する事実は否定できません。
また、寒さが厳しい地域では、気をつけておかなければならない点がいくつか存在します。
次項で紹介する、冬場に電気自動車に乗る際の注意点もあわせてご確認ください。
冬場に電気自動車に乗る際の注意点
ここでは、冬場に電気自動車に乗る際の代表的な注意点を4つ紹介します。
注意点①バッテリーが減りやすい
電気自動車を動かすリチウムイオンバッテリーは、温度に敏感で、4℃未満または46℃以上になると、パフォーマンスが低下します。
バッテリーは、内部に含まれる電解液の化学反応が進むことで電気を生んでいます。
しかし、温度が下がるとバッテリー内で起こる化学反応の速度が遅くなり、生成できる電気量が減少してしまうのです。
また、冬場は車内を温めるために暖房を利用する方が多いと思いますが、これもバッテリーが減りやすくなる原因の一つです。
エンジン車の場合は、エンジン本体の発熱によって車内を温めますが、電気自動車はエンジンを積んでいませんので、熱源はバッテリーやモーターのみになります。
そのため、電気自動車は車内を温めるために、貴重な駆動力である電力を使用しなければなりません。
暖房に要する電気量はどれくらいかというと、フル稼働させたときに走行距離が半分以下になるケースもあるほどです。
これらの理由から、気温が低下する冬場は、電気自動車のバッテリーが減りやすい状態にあります。
注意点②充電効率が落ちる可能性がある
電気自動車のバッテリーが冷えると、充電能力にも影響を及ぼします。
これも、気温の低い冬場ならではのリスクです。
具体的には、充電に時間がかかったり、フル充電しても通常時より容量が減少したりと、本来の性能が引き出せなくなる可能性があります。
氷点下のなか家庭用電源で充電した際、バッテリーを温めるためにほとんどの電力を使ってしまい、一晩たってもまったく電力が溜まらなかった……ということも起こりえます。
充電効率が落ちるのを防ぐために、バッテリーをヒーターで保護する方法もありますが、そのヒーターの稼働にも電力を消費することは忘れてはなりません。
冬場は充電効率が落ち、ひいては航続距離が短くなる点を理解しておきましょう。
注意点③雪が付着してオートパイロット機能が使えないことがある
電気自動車の利用に際して、冬になって不都合を感じる点は、バッテリー以外にもあります。
電気自動車はエンジン車のように排熱しないので、車体に付着した雪が解けにくく、これは運転者にとっては悩みの種です。
カメラのセンサーに雪が付着すると、高速道路での長距離移動に欠かせない、半自動運転機能である「オートパイロット機能」が使用できなくなってしまいます。
また、ボンネットに溜まった雪が視界を妨げるおそれもあります。
電気自動車はエンジン車と異なり、ボンネットが温まらないので、ボンネットに溜まった雪がなかなか解けないのです。
視界が悪くなる前に途中停車し、取り除いておく手間があります。
注意点④タイヤの空気圧が下がる
電気自動車に限った話ではありませんが、冬になるとタイヤの空気圧が下がりやすくなります。
これは、気温が低下してタイヤ内の空気が収縮することが原因です。
エンジン車であれば、ガソリンスタンドで給油する際に、一緒にタイヤの空気も入れてもらえます。
しかし、電気自動車の場合はガソリンスタンドを利用する機会がありません。
タイヤの空気を入れてもらうためだけに立ち寄るのは不便なので、冬場はタイヤの空気圧が下がったときのために、車内にポンプを常備しておくのも一案です。
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冬場でも安全に電気自動車を運転するためのポイント
ここまでで、冬場に電気自動車に乗る際に注意すべき点はご理解いただけたと思います。
続いては、冬場でも安全に電気自動車を運転するために、押さえておきたいポイントを解説します。
ポイント①充電スポットの位置を調べておく
電気自動車で遠出する場合は、事前に充電スポットの位置を調べておきましょう。
冬場はバッテリーのパフォーマンスが下がるだけでなく、車内を暖めるためにも相当な電力を消費します。
途中で電力がなくなり立ち往生してしまわないためにも、充電できる場所を把握しておくことが大切です。
また、充電するとバッテリーが温まってパフォーマンスが上がり、航続距離が伸びるので、特に寒さが厳しい状況では積極的に充電することで危険を回避できます。
ポイント②天気や交通状況をチェックする
その日の天気や交通状況も、安全に運転するためにチェックしたいポイントです。
長時間の渋滞は、電気自動車が電力不足に陥りやすいシチュエーションです。
特に、雪が原因の渋滞では、寒さによって電力消費が大きくなり、電欠の危険が高まります。
大雪が予想される日は、可能な限り外出を控えたほうがよいでしょう。
どうしても出かけなければならない場合は、JARTIC(日本道路交通情報センター)などで交通情報をこまめにチェックしてください。
ポイント③暖房の温度を低めに設定する
電気自動車のエアコンの温度を低めに設定すると、バッテリーの節電に効果的です。
しかし、単に車内の温度を下げるだけでは、身体が冷えてしまいます。
そこで、エアコンの代わりに、シートヒーターやステアリングヒーターなど、身体を直接暖めてくれる機能を使用して、寒さを和らげるのがおすすめです。
エアコンよりも圧倒的に少ない電力で暖かさを得られます。
また、プレ空調(車をロックした状態で、暖房だけをONにできる機能)を使える車種であれば、自宅や充電スポットで、出発前に車内の温度を高めに設定しておくとよいでしょう。
出発前に車内が十分暖まっていれば、走行中はエアコンの温度を抑えられます。
プレ空調では車内の電力を使わないので、バッテリーが減少することはありません。
もちろん寒くなったら温度を上げて、運転に集中できる環境を整えてくださいね。
ポイント④防災・防寒グッズを車内に用意しておく
電欠して立ち往生してしまった場合に備えて、車内で使える防災・防寒グッズを用意しておくことも大切です。
電気毛布や携帯カイロなど、身体を直接暖めてくれるものを車内に載せておけば、万が一の際に役立ちます。
用意しておきたい防災・防寒グッズ
ダウンジャケットなど防寒具
毛布・ブランケット
携帯カイロ
手袋・長靴
非常食・飲料水
携帯トイレ
スコップ・雪かき棒
ポータブルバッテリー
先述のように、エアコン以外の暖房器具を利用すれば、バッテリーの節約にもなります。
もしもの事態に陥ったときは、消費電力を抑えられるシートヒーターやステアリングヒーターとあわせて、防災・防寒グッズも活用しましょう。
ポイント⑤回生ブレーキを意識する
回生ブレーキを意識すると、無駄な電力消費を抑えることができます。
電気自動車の加速時には、バッテリーの電気エネルギーが、車を走行させる運動エネルギーへと変換されます。
そして、減速時に運動エネルギーを電気エネルギーへと再び変換し回収するのが、電気自動車特有の機能である、回生ブレーキです。
電気エネルギーを無駄なく使うためには、この回生ブレーキを意識するのが重要です。
いったん加速したらなるべくブレーキを踏まずに、アクセルの調整により、ゆるやかに減速してください。
運転中はなるべく先を見て、車の流れに合わせた速度で走行すると、回生ブレーキをうまく活用できます。
電気自動車の将来性
冬場でも電気自動車に乗ることはできるものの、現状では完全なパフォーマンスを発揮できない可能性があるのは事実です。
ただし、電気自動車の性能は年々高まっており、今回ご紹介した懸念点もいずれは解消されていくはずです。
ガソリン車から電気自動車へとシフトする動きは、世界中で見られます。
日本政府も「2035年までに、新車販売で電動車100%を実現する」と発表しており、利用者の増加や充電スポットの増設が予想されます。
これから電気地自動車がさらに普及していくのは、間違いないでしょう。
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電気自動車は、対策をすれば冬でも安全に走行可能
本記事では、冬場に電気自動車に乗る際の注意点や、安全に運転するためのポイントを解説しました。
「電気自動車は冬場に弱い」と言われますが、事前に注意すべきポイントを押さえておけば、適切な対策を施し、安全に走行することが可能です。
冬場は電欠で立ち往生してしまわないよう、エアコンの代わりにシートヒーターやステアリングヒーターなども活用し、普段からバッテリーを節約しましょう。
BYDの『ATTO3』には、シートヒーターが最初から搭載されているため、冬場でも安心して走行できます。
BYD横浜中央では試乗も承っているので、興味のある方はぜひ足をお運びください。
なお、BYDの誇るBYD ATTO 3の試乗レポートと、BYD DOLPHINの試乗レポートも公開しています!
ぜひあわせてご覧ください。